「最近魚を食べていますか?」
日本人の食生活は近年大きく変化してきました。国の統計調査によると、7~8年前から日本人は魚よりも肉を多く食べるようになったという報告があり、魚離れが進んでいることが分かります。一方で、回転寿司や大手スーパーで扱われるマグロやサケの切り身、エビやカニなど、世界中から輸入される魚介類の量は増えています。つまり、魚介類の消費量が全体的に減少している上、国産品の落ち込みはそれ以上に激しいということです。
その結果、燃油の高騰、就労年齢の高齢化、魚の値段が下がっているという問題もあって、漁業者はもとより日本の水産業界全体が落ち目になってしまっています。食糧自給率が40%を割り込み、健康との関係で、魚肉に含まれる良質なタンパク質やその他の栄養物質の価値も注目されている現在、それは決して望ましいことではありません。
そこで、“前浜物の魚介類はおいしい”をテーマとして、水産業の未来を切り開くために、魚食文化の継承と普及を目的とした調理師を養成することにしました。学校のある石巻市は、親潮と黒潮がぶつかる素晴らしい漁場を目の前に控え、沿岸漁業と共に、沖合・遠洋漁業の拠点としても名高く、リアス式海岸という地形を利用した養殖も盛んに行われており、季節に応じて多種多様な魚介類が水揚げされています。そのような“旬”の魚介類を利用した実習を中心に、調理の技術と理論、食品の安全性や栄養についての知識を兼ね備えた“魚食伝道師”を育てたいと思っています。
もちろん、調理師免許を取得するためには、和洋中を問わず、魚料理だけでもなく、様々な食材を使った調理法を勉強しなければなりません。しかし、水産高校の強みを生かして、魚に関する様々な知識を身に付け、漁業者の熱い思いを理解し、地元で水揚げされる魚介類の特長や調理方法を勉強した若者によって、魚食文化が受け継がれ、発展されることを私たちは期待しています。
《特色ある授業》
食品衛生学、公衆衛生、食品学、栄養、調理理論、魚食文化、みやぎの魚介類
《取得できる資格》
調理師免許(国家資格)
《主な進路》
調理・栄養系大学進学、割烹・料亭、ホテル・旅館、病院、その他給食施設
*船舶料理士(司厨員)の資格は3ヶ月以上の乗船履歴が必要となります