2017年度宮水blog

2017年度宮水blog

平成29年度 卒業式 校長式辞

 数年に一度の厳しい寒波に見舞われた冬を終え、ようやく春の日差しが差し込める時期を迎えようとしています。

本日ここに、平成29年度宮城県水産高等学校第69回卒業証書授与式・第59回修了証書授与式を挙行いたしましたところ、日頃より本校の教育活動に御支援、御協力をいただいております、PTA、後援会、同窓会をはじめ、各所より多くの御来賓の方々に御臨席を賜り、誠にありがとうございます。

ただいま、呼名を受け、クラスの代表を通じ、卒業証書を授与した本科113名の卒業生の皆さん、同じく、修了証書を授与した専攻科6名の修了生の皆さん、卒業並びに修了おめでとうございます。

東日本大震災から間もなく7年を迎えようとしていますが、本校では今年度、第二グランドの仮設住宅が撤去され整地が進み、また、この体育館の隣には、新校舎が間もなく完成を迎えようとしています。体育や部活動、実習などで支障の無い対応はしてきたものの、不便をかけた皆さんに、当初、わずかな期間でも使ってもらい、新校舎で皆さんを送り出す予定でありましたが、様々な事情からそれがかなわなかったことが、我々教職員にとって、心残りではあります。

ただ、(勝手ではありますが)多くの先輩方と同じ、歴史ある現校舎での最後の卒業生であるということに誇りをもって巣立っていただきたいと思っています。

卒業生、修了生の保護者の皆様、本当におめでとうございます。卒業、修了を迎えたお子様の姿に感慨も一入のことと思います。

三年間あるいは五年間、高等学校の普通科教育と本校の特色である専門教育の学習や部活動などの生徒会活動を通じて、少し大人の風貌を覗かせてくれるようになった、今日の姿に、私ども教職員一同、大事なお子様をお預かりした、その使命を少しではありますが果たすことができたのではないかと、保護者の皆様とともに彼ら、彼女らの成長をうれしく感じているところであります。

保護者の皆様、改めまして心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。

さて、卒業生、修了生の皆さん、姿勢はそのままでちょっと目を閉じてみて下さい。そして、皆さんが過ごした水産高校での日々を少しだけ思い出してみて下さい。

希望と不安で迎えた入学式、あの時の思いと今とでは、どう変わりましたか。

練習に汗し、自分の思いを打ちころしてチームプレーに徹し戦った部活動、

親元を離れて、船酔いと闘いながら二ヶ月間仲間と過ごした宮城丸での乗船実習、

実験や実習でうまくいかないことも多い中、グループで取り組み、まとめ上げた課題研究

来る日も来る日も桂剥きを行い、包丁さばきの基礎を身に付けた調理実習、

本科時代とは違う思いで乗船に望み、プレッシャーのかかる中、資格取得に打ち込んだ専攻科

皆さんの本校での日々は、今の皆さんにどんな影響を与えたでしょうか。

「経験に勝る学問無し」

この学校で行った行事、実習、部活動などの様々な経験は、今までの、そしてこれからの皆さんの人生に影響を与えていくことになると信じています。

さっ、目を開けて下さい。

今日、この日の主役である皆さんが、めでたく卒業、修了を迎えることができたのは、もちろん、一人ひとりの努力の賜ではありますが、同時に昼夜を問わず、暖かい愛情を持って支えて下さったご家族や、励まし、指導し続けて下さった先生方、実習の機会や物心ともにご支援をいただいた多くの地域企業の方々、そして、学び合い、競い合い、共に過ごした友人がいたからということを、心に留めておいて下さい。

さて、先日まで、韓国のピョンチャンにて冬季オリンピックが行われていましたが、日本代表のメダリストはもとより、参加した選手の方々は、大会後のインタビューで、共に戦った他国の選手への敬意とともに、応援してくれる人たちへの感謝と、その人たちの思いを持って戦ったことを話されていました。

ひとりの選手の栄光の裏には、本人の挫折や涙の他に、監督、コーチ、競い合ったライバルや多くの方々の応援や支援があるということを、改めて感じたところです。

オリンピックは、マスメディアに取り上げられやすく、その報道から、こういったことがわかりやすいのですが、卒業、修了を迎えた皆さんにも共通する部分があると思いませんか。

今日の卒業の喜びを迎えた裏に多くの方が関わってくれていたということ。

明日から学校を離れ、それぞれの世界で頑張っていく皆さんは、時には、自分が主役になったり、脇役に回ることがあったり、直接関わることもできず、ただ願うだけの立場になることがあると思います。それでも、多くの人がいて、その支えがあって、支えることがあって、これからの皆さんの成長があるのです。

オリンピック選手のように、それを口に出して相手への敬意や周りへの感謝を表す機会が無いとしても、そのことを忘れず、これからの人生を送っていって下さい。

AIの時代が訪れるなどといわれる時だからこそ、人としての、そうした思いが大切だと思います。

水産高校で実学を学び、経験をもとに成長をされた皆さんですから、人を思いやり、感謝することができる、人に愛される大人に成長し、少しでも大きな夢を叶えていってくれることを信じています。

卒業生、修了生の皆さんの本校からの船出が、幸多からんことを心から祈念して「式辞」といたします。


平成30年3月1日

宮城県水産高等学校長  瀧田雅樹