blog

平成30年度卒業・修了証書授与式における「校長式辞」

 先月末より,ようやく春のあたたかな日差しが差し込め,梅の開花が東北にも訪れる時期となりました。

 本日ここに,平成30年度宮城県水産高等学校第70回卒業証書授与式・第60回修了証書授与式を挙行いたしましたところ,日頃より本校の教育活動にご支援,ご協力をいただいております,PTA,後援会,同窓会をはじめ,各所より多くのご来賓の方々にご臨席を賜り,誠にありがとうございます。

 東日本大震災から間もなく八年を迎えようとしていますが,本校では今年度,老朽化と震災の影響を受けた旧校舎から,待望久しい現在の校舎への移転を行い,昨年11月にはその落成記念式典と2年遅れの120周年記念講演を多くの方々のご協力を賜り挙行させていただきました。その新しい校舎から,本日,本科卒業生,専攻科修了生を送り出すことができましたこと,改めて皆様に感謝申し上げます。

 

 ただいま,呼名を受け,クラスの代表を通じ,卒業証書を授与した本科105名の卒業生の皆さん,同じく,修了証書を授与した専攻科6名の修了生の皆さん,卒業並びに修了おめでとうございます。

 今日,この日の主役である皆さんが,めでたく卒業,修了を迎えることができたのは,もちろん,一人ひとりの努力の賜ではありますが,同時に昼夜を問わず,暖かい愛情を持って支えて下さったご家族や,励まし,指導し続けて下さった先生方,そして,学び合い,競い合い,共に過ごした友人がいたからということを,忘れないでいて下さい。

 また,専門高校である本校に対し,実習の機会や物心ともにご支援をいただいた多くの地域の方々,企業の方々への感謝の気持ちも忘れないでいて下さい。本日,壇上の彩りを添えて頂いている,花々は,震災直後よりお世話になり,食を通じて交流を図っております,「石巻北高等学校」の方々より,皆さんの卒業,修了の門出を祝ってお送りいただいたものであります。

 

 卒業生,修了生の保護者の皆様,本当におめでとうございます。卒業,修了を迎えたお子様の姿に感慨も一入のことと思います。

 まだまだ幼さの残る,中学を卒業して間もない三年前あるいは五年前の入学当時の生徒の皆さんが,高等学校で学ぶべき学習に加え,本校の特色である類型ごとの専門教育の学習や部活動などの生徒会活動を通じて,成長され,大人の風貌を覗かせてくれるようになった姿に,保護者の皆様とともに,教職員一同,彼ら,彼女らの成長をうれしく感じているところであります。

 保護者の皆様におかれましては,在学中,様々な思いはお有りになったこととは存じますが,大事なお子様をお預かりさせて頂き,成長をする姿を間近に拝見させていただきながら,その使命を多少なりとも果たすことができたのではないかとホッとしているところであります。

 保護者の皆様,改めまして心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。

 

 さて,卒業生,修了生の皆さん,皆さんの本校で過ごした三年間あるいは五年間は,今の皆さんにどんな影響を与えたでしょうか。親元を離れての宮城丸での乗船実習,沖縄でのダイビング実習,石巻専修大学や石巻北高校とのこめぼこ連携実習,夕凪ダイニングにおける実践的調理実習など,あのときの苦労や達成感が,今,皆さんの頭をよぎっているのではないでしょうか。

 

 「学問なき経験は,経験なき学問に勝る。」イギリスのことわざです。

 経験することでわかることが沢山ある。学ぶだけではなく実践することが大事であるということを伝えてくれています。

 皆さんは,この学校で行った数々の実習により,机の上で活字を追うだけでは学び得ない、多くのことを経験を通して身に付けることができたのではないでしょうか。そのことは,皆さんにとって卒業後の新たなステージにおいてアドバンテージとなってくれることと信じています。

 そして,本校を卒業,修了する今日は,皆さんにとって,新たなステージを歩んでいくための始まりの日でもあることを忘れないでいて下さい。

 今までは,学校で定められたカリキュラムを元に学習や経験を行ってきた訳ですが,これからは一人一人が進むべき世界で「何を学ぶべきか,何を経験すべきか。」を,自ら考え、実践していかなければならないのです。みんなに支えられ,道路を歩んできた高校生活から,自らの考えで,まさに大海原へと飛び出して行く,卒業・修了を迎えた今日は,そういうことを決意しなければならない日であります。

 ただ,不安な思いや悩んでしまうことはありません。

 進むべき方向を見失ってしまったとき,今まで支えてくれた方々や経験から得たものが,皆さんの羅針盤となり手助けしてくれると思います。また,新しい環境で出会う人たちに対し,感謝を持って誠実に対応することができれば,その方々もまた,灯台のように道しるべとなって下さることでしょう。

 

 皆さんの成長を間近に見てきた者として,今日の日の感謝の思いと新たなスタートへの決意があれば,たとえ荒波に会おうとも,皆さんにとって素晴らしい未来が待っていると信じています。

 頑張って下さい。

 

 卒業生,修了生の皆さんの本校からの船出が,幸多からんことを心から祈念して「式辞」といたします。

 ボンボヤージ

 

 平成31年3月1日

 宮城県水産高等学校長  瀧田雅樹